薄く張られていた膜が剥がれ落ちて・・・本当の自分に出会った気がした。
復讐と愛の謳~actⅠ
己の手の中にあるナイフから滴る赤い雫を感慨もなく見つめる。
その先にあるのは赤い命の色・・・
それと命の消えたただの肉の塊。
何の感慨も無く、焦燥も無く・・・
あぁ殺っちゃったなぁ・・・どうしようか?
そんな考えが過ぎ去る。
自分がいつもと違う思考をしているなんて思いも何も無い。
ただ、こんな所で、こんな奴らのあの醜い自分本位な少女の思い通りになるのは嫌だと、こんな所で死ぬのは嫌だと・・・思った瞬間、傷だらけで力の入らない状態だった体は、本人の思うより軽く動いて相手を殺していた。
ただただ思うのは、これからどうやって生きるかだけ・・・後悔も何も無い。
赤い海の中一人佇んで、これからの事を考え出すツナ。
その頃リボーンは、自分の教え子であるツナが悪女に嵌められてから危険な状態だと心配になり探しに来ていた。
学校まで行くがもう帰った後、そこで街中を探している途中感じた・・・
━━━━家賊の気配━━━━
「誰か来てやがるのか?・・・双識でなきゃいいな( ´Д`)=3」
家賊に会えるのは何だかんだ言っても嬉しい・・・ベタベタと抱きつこうとかする双識でなければ・・・それさえなければ実力を考えても兄として認めてやれる。が、いかんせ相手は家賊大好きな双識隙を見せたら抱きついてきて頬ずりまでされそうだ。それはご遠慮願いたい。
殺人鬼になる前からヒットマンとして生きてきたリボーン、その為ベタベタと張り付こうとする双識は・・・ただウザく時たまうっかり殺っちゃったと言って本気で殺ってしまいたくなる存在になっている。
家賊なので我慢はしている・・・が、殺りあってもいまだ双識には勝てないので鍛錬あるのみ・・・でツナの修行の合間自身も鍛錬に勤しんでいるのは自身の秘密だ。
血の匂いと気配をたどって目にした光景に動きが止まる。
目の前の血の海に佇む見覚えのあるススキ色の髪・・・
「━━━━ツ、ナ・・・?」
リボーンの声にビクリと反応して振り返るその顔は、間違いなく教え子のもの。
「・・・おめぇ・・・零崎に目覚めちまったのか・・・?」
ずっと一般人として、光の中で生きてきた。
マフィアのボスとして裏社会に引きずり込んでも、その存在はとても裏社会に居るものとは違い真っ直ぐで暖かな大空のような存在であった。
何者にも染まらない包み込む大空。
だが今目の前にいるのは・・・紛れもない一人の殺人鬼だった。
続
ツナさん結構冷静です。