匂いも気配も全くの一般人だと思っていたのに・・・
復讐と愛の謳~actⅡ
振り返って目の前にいるリボーンを見つめる。
その目には、嘗ての優しさが無く、冷えて凍えるような鋭い光が宿っている。
「零崎って・・・リボーンは、零崎を知っているの?」
ポツリと零された言葉を耳にしてリボーンは、愕然とした。
一般人として生きてきた筈のツナが、裏世界の殺し名を知っているというのはどうしてだ・・・と。
殺人鬼一賊の零崎を知っているはずはない。なのに知っているというツナ。
「おめぇ・・・どうして零崎を知ってるんだ・・・ツナ?」
その問いかけに薄らと微笑んで困ったような目をする。
「母さんは、裏世界の住人だよ、。だから俺も彼らを少なからず知っているんだ」
その答えに、リボーンはまたも愕然とするしかなかった。
ほのぼのとした雰囲気のママン。
懐が深く、優しい女性だ。それが裏世界の住人だとはどうしても信じ難かった。
「信じられないって顔だね?でも、本当のことだよ?罪口の武器職人。結構有名だよ」
「・・・ママンが罪口」
口に出して言ってみても、あまりにもかけ離れているので納得もできない。
けれど、次に出てきた名前にも驚きを隠せない。
「山本・・・武君も裏世界の住人だよ・・・石凪だよ武君そして俺の幼馴染でもあるんだ」
天然で明るいスポーツ少年だと思っていたのに、石凪の人間だったとは・・・が、あの動きは、たぶんに納得できるものもあった。
それよりも今は、ここから離れる必要があった。
惨殺死体のある場所にいつまでも居るものではない。
「とりあえず、うちに帰ろう?母さんにも言わないと心配してるだろうから」
そのツナの提案に乗って沢田家に帰ることにした。
本当は、零崎の家に行くべきだろうが時間が時間だママンも心配しているだろうことを思って帰ることにした。
家に着くと、心配していたらしい奈々が、表に立っていてツナを見た瞬間何かを察したように笑った。
「ツッ君・・・もしかして」
「・・・うん。零崎になっちゃった」
軽く言う母子に軽く目を見開くリボーン。
何でそんなに軽いんだ・・・と。
「ふふふ~じゃあ私頑張ってつーちゃんの為に武器を作っちゃうわ♪」
と言ってニコニコと笑っている。
そんな奈々に、あぁ、罪口というのは本当のことなのかと納得したリボーン。
そんなリボーンにチラリと視線をやる奈々。
その視線を察して自己紹介を新たにする。
「俺は、零崎黒識。零崎一賊だ」
ニヤリと笑って言えば、奈々は、そうと笑顔で返した。
「じゃあ、とりあえず家に入ってからこれからのお話をしましょう?」
という奈々の言葉に頷いて家に入った。
続
終が見えない(´・ω・`)