ああまたそんなに散らかして
花男・あきつく
憂さ晴らしなら俺の腕の中で愚痴言って?
牧野の部屋に行くと、いつもキチンと整頓されている部屋が散らかっていて・・・
ああ・・・またそんなに散らかして
きっと憂さ晴らしに散らかしたんだろうと
すぐにピンときた。
まだ付き合ってはいないが一番近い男は今は自分だと思う。
司とは高校卒業と同時に別れ、類とはソウルメイトで恋愛にはならないらしく
総二郎は何でも言い合える仲間で、俺は・・・牧野を愛しているけれど牧野にとって俺はまだ・・・お兄ちゃんという立場で
・・・いい加減この関係を変えたい。
けれど牧野は鈍感で俺の気持ちにはちっとも気付かない。
多少態度にも出しているのだが・・・
どんだけ鈍感なんだ?
悲しくなってくる。
バシバシと何かを叩きつけるような音が響く部屋。
ベランダでコレでもか!!とまるで敵でも叩くように布団を叩く牧野の姿。
おいおい・・・布団傷むぞ?
布団ならいくらでも買ってやるし?
どうせならうちに越してきても全然OKだけど。
いったい何があったのか?
牧野がこんなに苛立っているのは珍しい。・・・くもない。
「牧野・・・どうした?布団傷むぞ?」
「ぎゃ!!美作さん!?いつの間に!?」
「いつって・・・さっきから居るぞ?布団に苛立ちぶつける様に叩いてたから気付かなかったか?
インターホン鳴らしても返事無いから勝手に上がらせてもらった・・・けどな・・・鍵はちゃんと掛けろって言ってるだろ?」
「へ?掛って無かった?あれ?」
「あれ?じゃない。シッカリしてるようで何でそういうところ抜けてるんだか」
俺の言葉にムッとして膨れる牧野。
「どうせあたしは子供ですよ!!」
「誰もそんな事言ってないだろう?」
聞こえない振りでまた布団を叩きだす牧野。
こっそり溜息を吐き。
そっと腕に抱きしめる。
ビックリした牧野は布団たたきを落としそうになって固まっている。
「またこんなに散らかして」
「だって、ムカつくんだもん」
「何があったんだ?」
むぅ~として膨れる顔。
「西門さんが・・・いつまでも鉄パン穿いてるから子供体形なんだって馬鹿にするんだよ?
別に体形はいいんだよ・・・諦めてるから・・・根っからの日本人体形だもん・・・
だけどね・・・コレでも少しは大人っぽくなってきたと思うのに!!子供っぽいって何よ!!」
最後はもう愚痴というより怒り出した。
総二郎・・・お前の方が子供だろう?
腕の中にシッカリ牧野を抱え込む。
「牧野。憂さ晴らしなら俺の腕の中で愚痴言って?」
「はぇ?何で!?」
真っ赤な顔で間抜けな返事。
「うん?俺は・・・牧野が好きだから。もし憂さ晴らしに散らかした物で牧野が怪我でもしたら嫌だし?
愚痴ならいくらでも俺が聞いてあげるよ?
・・・・・・ただし、腕の中でね?」
そう言って額にキスを一つ。
固まってしまった牧野が叫び声とともに俺に鉄拳を入れるまで
俺は、ゆっくり牧野の温もりを堪能していた。
終わり。
たぶん、ここからつくしは、良いようにあきらの掌で転がされていくのだろうか?←
でもただでは転ばないつくしにあきらが良いように振り回されるのも面白い←
どうだろう?
(何が?