温かいてのひらで頭を撫でてくれた
花男・類つく
解け行く不安は・・・
どうしても拭えなかった不安。
でも、類には気付かれないように、色々と言い訳じみた不安材料を並べていた。
自分でも何がそんなに不安なのか解らなかったから・・・
けれどあたしの嘘なんて本当はずっと知っていて、黙って騙されていてくれた。
あたしの不安・・・
あたしが感じていた不安。
それは類。
類に関係していた。
だからなかなか思い至らなかったんだ。
よく言われる鈍感だけれど人の機微には敏感だと。
けれど類の心が解らなくて不安だったんだ。
思い至ればスルスルと解けていく。
疑問が解消されれば、あたしは類に言わなければならない事が出来た。
だけど・・・面と向かっては言い辛い。
恥かしい。
けれど・・・メールや手紙に託す事はしたくない。
あたしの口から類に言わなければこの不安は無くならないから・・・
だから今日決心して非常階段で待っている。
もう誤魔化さない。
あたしの本当の心で類に言わないと・・・
優しい類をこれ以上苦しませない様
悩ませない様・・・
傷付けないように・・・
あたしの為にたくさん傷付けてしまっていたんだから。
ゆっくりこちらに向かってくる類が見える。
あたしに気付いて笑ってくれる・・・あたしの好きな笑顔で。
だからあたしも笑う。
「おはよう類」
「おはよ、牧野」
挨拶して並んで座る。
いつもの位置。
変わらない空気。
あたしを安らかにしてくれる。
でも今日は甘えちゃダメ。
言わなくちゃ。
目を閉じて軽く深呼吸。
目を開けて類を見る。
「ねぇ類。あたしね・・・ずっと不安だったんだ」
「どうしたの？」
あたしの突然の話にびっくりしたような顔。
そうだよね。あたしはずっと自分も類も誤魔化していたんだから・・・
急にそういう告白はビックリだよね？
ちょっと自嘲気味に笑って類に向き直る。
「あたしね、自分が何に不安を感じていたのかずっと解らなくて類にいろいろ言い訳じみた不安理由を言っていたんだ。
だけどね・・・気付いたんだ・・・何に不安を感じていたのか・・・やっと解ったんだ」
じっと類を見つめる。
視線を逸らさず。
逸らしたらあたしの真意が想いが伝わらないような気がしたから。
「あたしね・・・類の道明寺に感じている心が気持ちが・・・不安だったんだ・・・
類は道明寺に悪い事したとか・・・今の状況を後ろめたく思っているでしょ？
だから今・・・もうあたしは類が好きなのに・・・もしかしたら、道明寺があたしを思い出す事があったら・・・
そんな日が来たら・・・あたしを諦めて道明寺にあたしを返す・・・ううん・・・あたしの気持ちが類にあっても・・・
道明寺にあたしを渡してしまうんじゃないかって・・・それが不安だったんだって・・・気付いたんだ」
あたしの告白に、類は目を見開いて・・・
あたしを抱きしめて・・・呟いた。
「ごめん・・・俺が不安にさせてたんだ？
気付かなくてごめん・・・
でも、牧野は間違ってるよ？俺は、牧野が俺の手を握ってくれた時から・・・
もう、牧野を手放す気はないよ。だって、俺は牧野が居なくちゃもう幸せにはなれないから。
確かに司には・・・悪いと思う。でも、司が悪いわけじゃないけど・・・牧野をたくさん傷付けた・・・
だからもう司に遠慮しない。だからもう・・・そんな事で不安にならないで？
俺の幸せには牧野は不可欠なんだから・・・」
耳元で囁くように言われて・・・
その告白が嬉しくて嬉しくて・・・切なくて・・・
涙が溢れる。
あたしを宥める様に類は何度も何度も
温かいてのひらで頭を撫でてくれた
それが心地よくて・・・
目を閉じる。
次に目を開けた時・・・
きっともっとあたしは貴方に
恋をする。
終っとけｗ
次で終わり・・・
幸せな終わりだといいね？
(なんで他人事なんだよ毎回！？←
とかツッコミ入れないでくださいｗ
自分で思ってるから～
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