お題・君に恋をしたあの瞬間
花男・あきつく
月夜とブランコ
司と牧野。
司は牧野が好きで好きで
嫌がる牧野を追いかけて追いかけて
振り向かせた。
そんな司の気持ちを知っていた。
だから俺は自分の恋心にブレーキを掛けて封印した。
４年後の約束は果たされる事無く２人は別れた。
理由は道明寺の業績不振。
だが・・・司は牧野の為・・・いや
司には牧野が必要だから自分の為といってもいいな
幸せになる為頑張って財閥を立て直そうとしていた。
けれどどこまでも落ちる業績。
道明寺は結構汚いやり方もしていたから中々立て直す事も出来ず、提携先も無く
政略結婚を余儀なくされた。
司は別れる気がなかった。
牧野に結婚までいく気はない。
婚約だけで必ず財閥を立て直して牧野を迎えに行く。
そう言っていたが・・・そこは牧野一筋縄でいく女じゃない。
『あたしとあんたの運命は交じり合わない運命なんだよ・・・
その婚約者の人を幸せにしてあげなよ？
あたしは自分の幸せは自分で掴むし。
だから・・・別れよう
恋人じゃなくても親友にはなれるよね？』
そう言って別れた。
そんな牧野は暫くは落ち込んでいるようだった。
そんな事をつらつらと考えていると隣に人の気配
「くすくすくす・・・美作さんだったんだ？」
「ま・・・きの？」
「前を通ったらブランコ漕ぐ音して誰か居るのか？って見たらさ
美作さんブランコに乗って空見上げてるんだもん」
ちょっと悪戯っぽく笑って言う牧野にちょっとドキッとする。
「牧野はバイト帰り？」
「うん、そう。美作さんは？また振られたの？」
「・・・おい。誰が振られたんだっつーの！！
俺は最近付き合ってる女なんていないっての」
そう言った俺の顔をビックリした顔で見る牧野。
お前その顔ちょっと面白いぞ・・・？
と思ったけど言わない。
言ったら不貞腐れて怒って行ってしまうような気がするから。
「ちょっとビックリした。だっていつもクラブ行ったりしてるじゃん西門さんと」
「まぁ・・・総二郎と飲んだりはするけど・・・最近は女とは遊んでない」
「そうなんだ」
「そうなんです」
「でも、今日もいい月だね～」
隣のブランコに座って空を見上げてる牧野の横顔を盗み見る。
綺麗だと思った。
「ああ…綺麗だな・・・」
「ね～・・・でも・・・あの時も月見たよね」
「・・・あ？」
「ほら・・・高校生の頃。公園でさ美作さんやっぱりブランコに乗って月見てたじゃん？」
「覚えてたんだ？」
「覚えてるよ！！道明寺じゃあるまいしそこまでボケてないんだから！！」
「司と比べるなって・・・」
「でもさ・・・道明寺って・・・アレで本当に財閥背負ってるって凄いよねいろんな意味で」
「牧野・・・お前ヒデェぞそれ」
「だって日本語だって不自由なのに財閥のトップになれるって凄くない？」
「司は野獣だし・・・野生の勘で切り抜けてるのかもな？」
「それあるかも・・・」
暫く司の話で笑い合って、ああ・・・司の事はもう吹っ切れてるんだと安心した。
「あ・・・そろそろ帰らなきゃ・・・あたし明日朝一で講義取ってるんだった」
「ん？じゃあ送ってく」
立ち上がろうとしたら牧野が止めた。
「いいよ。すぐそこだし」
「ば～か。すぐそこでも何かあったら遅いんだよ？だから送ってく」
「いいよ大丈夫。ね、美作さん」
「な・・・・・・・！！！！」
何？と言おうとして途中で言葉を失う。
ほほに軽い感触。
キスされた？？？？？
「あ、あたし美作さんの事好きみたいだから！！じゃ・・・そゆ事で！！また明日！！」
走って逃げる牧野。
牧野それ反則だろ！？
俺の返事も聞かず
走って逃げる牧野に
その行動に俺は・・・。
もう一度君に恋に落ちる。
また・・・
君に恋をした瞬間。
もうブレーキはきかないよ？
君が完全に
壊してしまったんだから。
覚悟してね？牧野。
終わり。
マダムキラーの本領発揮できると良いね・・・？
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