花男IF
つくし日本へ帰る。
日本にただ帰国する。
それだけで大騒ぎしていた父である道明寺財閥総裁を宥めて賺して大変な思いで帰国したつくし。
仕事が大変だというのに見送りにやって来た両親に笑って
「行ってきます」
と言ったのは数時間前。
日本に着いてホッと一息ついたところに無事に着いたのかと確認のメールが届きそれに返信して迎えの車に乗り込んだ。
「もぉ~何であんなに心配性かなぁ?あたしだってもう高校生なんだよ?」
ブツブツと迎えの車で呟くつくしに苦笑する西田。
1人は心配だからと付けられたのだ。
無事に送り届けたら直ぐにNYに帰る手筈だ。
「あ、家に帰る前に西門のお屋敷によって頂戴ね。日本に帰国したら西門のお屋敷でお茶を習う予定なの。
だから今日ご挨拶をしておきたいの。確か今日は小母様には予定が無いそうだから」
運転手にそう告げて西門に向かってもらう。
窓の外を眺めていたつくしが突然運転手に停まる様に告げた。
何事かと窓の外を見ると見知った顔がカフェに見えた。
つくしは携帯をかけ始める。
カフェに居た人物が携帯のディスプレーを確認して驚いた顔をしているのを見てニンマリと笑うつくし。
「ふふふ~驚いてるぅ~♪」
「・・・つくし?」
「うん。久しぶりだね~、あたし今ね日本に帰って来たんだ」
「はぁ!?マジか?」
「うん。マジ。でね、今あきら君の見える場所に居たりして?」
電話の相手はあきら。
あきらがキョロキョロと辺りを見てるのがおかしくて・・・
「カフェの前。車の中からだよ」
「あ、見つけた」
窓を開けて手を振ると急いでこっちに向かってくるあきらに小さく笑ってしまう。
いつも自分を子ども扱いするあきらの行動がすこしこどもっぽく見えて嬉しくなってしまったのだ。
1つしか違わないのに大人びたあきら。
年よりもずっと子供っぽく見えるつくし。
だからいつも妹扱い、それがちょっと嫌だったから。
「つくし、久しぶりだな。電話ではよく話していたけどな」
「うん。久しぶり。さっき着いたばかりなんだけどね。西門でお茶を習う予定だから
今から西門のお屋敷に行ってご挨拶してくる予定なんだ~
あきら君は今から用事?」
待ち合わせか何かでカフェに居たのだろうと予想をつけて聞いた。
「いや、時間を潰そうかと思ってカフェでお茶してた。
夕方頃に総二郎と司と待ち合わせしてるからな。
家に居ると出かける時に大変なことになるからな?」
ああ、夢子さんと双子ちゃんはあきら君にべったりでいつも大変そうなのを思い出して吹き出す。
「笑い事じゃないっつーの!!まぁ・・・西門の家に行くなら俺も行こうか?
どうせまだ暇だしな・・・」
「え?いいの?」
「ああ。構わない」
頷いて車に乗り込むあきらにちょっとホッとした顔を向ける。
日本には全く帰ってきていないので、正直西門のお屋敷に一人で・・・といっても西田も居るけれど
行くのはちょっと気おくれしていた。
道明寺の屋敷もそれなりに威圧感はあるが、西門のソレはちょっと違っていて、静寂漂う日本家屋が苦手なのだ。
西門の人たちは好きだが、どうしてもあの屋敷は苦手なのだ。
静かな空間に居ると一人取り残された気分になって悲しくなるから。
だから一緒にあきらが言ってくれるというのが素直に嬉しいつくしだった。
(続く)
長くなりそうなのでいったん切ります。
次は西門邸にご挨拶。
総二郎はでてくるのでしょうか?←