無欲だけど一番強欲な願い。
花男・あきつく
いつも一緒に
司と牧野が別れて２年。
俺と牧野が付き合い始めて半年。
もうすぐクリスマス。
初めてのクリスマスだし・・・
出来るだけ牧野の希望を叶えたい。
牧野にそれとなくリサーチ。
でも成果は無くて。
あいつ欲無さすぎ・・・。
桜子にも協力してもらった。
背に腹変えられない。
が、こちらも思わしい結果は無くて。
「クリスマスに欲しいものは無いそうですわ。
ただ・・・ご一緒に過ごされたいそうですわよ」
一緒に過ごす気はある。
て言うかそれ前提だ。
あまり高いものは受け取ってもらえないだろうし
もし受け取ってくれても渋々だなんて俺のプライドが許さない。
「手ごろでいつも身に着けてくれそうなアクセサリーとか？」
牧野は大学生になって綺麗になった。
司に釣り合う女にする為に俺たちがミッチリ仕込んだから。
でなくてもあいつは磨けば光る原石だったし？
司がＮＹに行ってから俺たちがマナーやお茶、立ち居振る舞い等を仕込んだんだからそれはな・・・
光っていい女になって当然だ！！
だから最近特にモテる。
けれど牧野は持ち前の天然記念物並みの鈍感さで全く気付いてない。
ここは喜ぶべきところなんだが・・・
虫除け代わりに指輪？
こんな俺の姿に総二郎や桜子が
『マダムキラーも形無し』
とか言って笑ってやがるが仕方ないだろ？
相手が牧野なんだから。
牧野のバイト帰りに迎えに行くのが俺の日課になっている。
「美作さん。いつもありがと」
小走りで寄ってくる姿がかわいくて抱きしめたくなる。
けど我慢。
恥ずかしがって逃げるし怒る。
怒る姿もかわいいけれど・・・俺末期？
「・・・？どうかしたの？」
「いや。もうすぐクリスマスだなぁ～って」
「そうだね～。イルミネーションもい綺麗だし
なんか意味なくワクワクするよね！！」
ちょっと興奮気味に言う彼女が愛おしい。
つい頭を撫でてしまう俺の顔は緩んでるだろうな。
「・・・恥ずかしいよ」
「ん・・・だって可愛くて」
「・・・・」
真っ赤になった牧野ホント可愛い。
「あのね美作さん・・・クリスマスの予定だけど・・・」
・・・バイトとか言わないよな？
今そう言われたら俺立ち直れないかも・・・
「クリスマスは一緒に居ようね？」
小首を傾げて少し赤くなってはにかんだ顔。
「・・・当たり前だろ？俺は牧野と居る予定でいるのに牧野は違ったの？」
勢いよく顔を横に振る。
「違うよ！！クリスマスだし・・・ほかの予定あるのかなって・・・」
「ある訳無いだろ？俺の彼女はだれ？」
「あ・・・あたし」
「そ。だから俺と一緒に過ごしてください・・・」
手を差し出すとオズオズと手をつかんでくれた。
「クリスマス一緒に居るだけでいいの？他に何かある？あるなら俺が叶えたいんだ」
俺がそう言うと、俺の手を引っ張って来て、とっさの事でちょっとバランスを崩した俺の耳元で
呟かれた言葉に一気に俺の顔が赤くなる。
俯いてしまった牧野を抱きしめて
「うれしいよ？そんな我儘なら俺は大歓迎だし？」
「ほんと？」
「ホント。だからもっと俺に我儘言って甘えて？」
「・・・うん」
抱きしめて見詰め合って幸せ。
そんな風にずっといたい。
今年のクリスマスは
二人きり
きっと楽しいことになる。
君がそばに居ればそれだけで幸せだから。
「あたし強欲だからずっと美作さんと一緒に居たい」
君からもらった言葉が
一番のクリスマスプレゼントだよ？
俺は手放す気なんて
無いから
ずっと一緒に居ような？
[1回]
