愛し方で１０のお題
司が暴漢に襲われ牧野だけの記憶を失った。
司の見舞いに行くたび牧野は、心を傷付けられ、笑顔が曇ってきていた。
あの、向日葵のような綺麗な笑顔は姿を消して。
作った笑顔・・・疲れた表情、どれだけ我慢しているのか見ていて辛くなる。
いつか思いだす。
きっと大丈夫。
あたしはまだ頑張れる。
みんなが応援してくれてる。
あんたそうやって自分に言い聞かせてるでしょ？
俺知ってるよ？
非常階段で呟いてる姿何度も見てる。
俺にはどうしてやる事も出来ないの？
愚痴ぐらいならいくらだって聞くよ？
あんた・・・絶対弱み見せようとしないけど、もう限界でしょ？
見てれば分かるよ？
「辛かったら寄りかかっていいよって言ってるでしょ？・・・今のあんた見てるだけで辛いよ？」
そっと抱きしめる。逃げられないように。壊さないように。
「はなざわ・・・るい？・・・・」
「泣いてもいいよ？こうしてれば見えないよ？だから・・・泣きな？」
そっと抱きしめる・・・大切な君を。
抱きしめる腕から胸から伝わる牧野の体温。
震える背中・・・でも一言も弱音言わないね・・・少しでも吐き出せば楽になるのに。
牧野は独りで抱え込む。
「俺に寄りかかりな？・・・あんた一人くらい簡単に支えることできるよ？」
「ありがと・・・心配かけてごめんね？」
ゆっくりと離れて少し笑って言う牧野。
「あんたのありがとうとごめんは聞き飽きた」
いつものセリフに少し笑ってくれた。
「・・・そうだったね。でも、本当に感謝してるんだよ？
それにいつも支えてもらってるよ。
花沢類が居なかったらあたしは立っていられないもの・・・だからありがと」
言ってくれた言葉はうれしいけど・・・何か決心したような君に不安を感じてもう一度抱きしめる。
今度は少し強く・・・でも壊さないように・・・。
このまま時間が止まればいい。
きっと君はいなくなるそんな予感に・・・抱きしめずにはいられなかったんだ。
君が何よりも大切だから・・・
終わり。
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