伝えたい想いをのせて君に・・・
９・限られた時の狭間で祈るもの
花男・あきら→←つくし
涙と抱擁
泣いている牧野を抱きしめる。
抱きしめて慰めて。
俺にできる精一杯の事で伝えたい。
『牧野が好き』
だと。
まだ言えない言葉。
牧野の心が司にあるならまだ言えないし
言わない。
言ってしまえばきっと牧野を悩ませる。
苦しめたい訳じゃ無い。
悩ませたい訳じゃ無い。
だからまだこの気持ちは胸に仕舞っておく。
抱きしめている間祈り願う。
君の心が少しでも早く俺に向くように・・・
気付いてくれるように・・・と。
月の光も届かない時。
あたしは泣く。
苦しくて、悲しくて、哀しくて・・・
切なくて・・・
今あたしが思う事。
道明寺の事はもう諦めている。
違う・・・
道明寺への想いが薄れてきている。
罅割れた心から、道明寺への想いが零れていってしまったから。
哀しい。
けれどもう吹っ切れそう・・・
割れた心の隙間を埋めて、優しさと温かさを注いでくれた人。
美作さん。
抱きしめてくれて、慰めてくれた。
抱きしめられた温もりがあたしを満たしていく。
ふとあたしは気付いた。
あたしは美作さんに惹かれていると・・・
でも言えない。
この優しい人は、道明寺の親友で幼馴染。
優しいこの人にこの想いを伝える事は・・・出来ない。
身分違いの恋はしない・・・
でももう少しだけ、あなたに甘えさせてくれますか？
もう少しだけこの温もりを感じていていいですか？
あと少しだけ・・・
あたしを抱きしめていてくれますか？
限られた時の狭間で祈るもの
月の無い。見えない夜。
静に声無く願う・・・祈る。
涙と抱擁・・・
この時間がもう少し続いてください。
牧野の
美作さんの
温もりをもう少し感じさせて・・・
終わり。
両思いなのにすれ違い。
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