今日も村は平和そのもの…
何時ものようにフェイの絶叫が木霊している(笑)
「ホントに平和だよねぇ~」
そんな事を言いながら、村の中を歩くアシュレイ。
「ん~明日から僕も冒険者だ~」
気が付くと
「……ん?ちょとフェイの悲鳴がコッチに向かってきてる?」
道の向こうに土煙が、上がっているのがハッキリと見える。
その事に、チョットどころか物凄く嫌な予感がして足を速め雑貨屋に入るアシュレイだった。
その直後、村の道だった筈の場所に大きなクレーターが現れた。
「…シェーラちゃん…」
そう、呟くアシュレイの顔は、どこか疲れていた。
「また、シェーラとフェイかい?今週で何度目だい?」
そう言って店の奥から雑貨屋の女将さんが出てきた。
「おばちゃんコンニチハ。確か今回で7回目だよ…今日は今ので2回目」
挨拶と答えを言う。
「あの親子もよく喧嘩のネタが尽きないもんだね。ああ、ごめんよアシュレイ、で、今日は何の用だい?」
「ふふ、別に気にしなくて良いよおばちゃん。今日はねココの実と薬草それと包帯を買いに来たんだ」
要件を告げると、おばちゃんは、手際よく品物を用意してくれた。
品物を揃えている手を休めて
「そういえば、明日が旅立ちの日だったねアシュレイ」
そうおばちゃんが、言ってきた。
「うん、やっとだよ…本当なら2年前に旅立つ筈だったのに…」
そう本当は2年前15で旅立つ筈だった。
そもそもこの国では、15歳になったら見識を広める、という事で旅をするという事が普通で…王族の者でも例外なく旅をするのだ。
なのに僕は、17で旅立つ羽目になったんだ。
「ああ、あの時は凄かったからね今回は流石にフェイも何も出来ないだろうさ」
思い出したようにおばちゃんが言った言葉に少し笑いながら
「うん、そうだね…シェーラちゃんが守りの魔法をかけてくれてるし、それに皆も協力してくれてるから平気だよ?」
そう答えたアシュレイだった。
そう僕が2年前に旅に出られなかった原因はフェイの馬鹿が関係している。
思い出すだけでもムカつく。
でも、今回は流石に旅立たなければヤバイ状況にある。
領主様が代わってしまった。
その為何があろうとも旅に出なくてはならない…出なければ、罪に問われる…というのだ。
その為皆が協力してくれている。
僕が2年旅に出られなかった理由を知っているから。
そう、2年前の悲劇(喜劇?)を……。
つづく~
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